偽りのない自分で。

「未来未来！見たよ、雑誌の最新号。やっぱり凄い可愛いね」
クラスメイトの美雨が、私の載った雑誌を見せながら言った。
「ありがとう」
「未来ってさ、何でそんなに可愛いの？羨ましいなー」

ウザイ。
美雨は毎日の様に繰り返しそう言ってくる。
いい加減止めて欲しい。

美雨の声を聞いて、周りにいた女子達が集まって来た。
「何々？」
クラスメイトの莉絵達のグループが割り込んでくる。

「本当だ！未来ってやっぱ凄いね！けどさ、その未来の友達が美雨って、いまいち釣り合ってなくね？私の方が可愛いのに。」
莉絵は美雨を強く睨み付ける。
莉絵の性格の悪さと、そのナルシストっぷりが私はどうも苦手だ。

莉絵は、気に入らない女子をとことんイジメる。
私も昔はそのターゲットだった。
でも、モデルになってからそれはピタリと止み、今は私の思いのままになっている。

それで今度は美雨。
私といつも比べるのだ。
莉絵は美人だ。
だから他の女子も彼女には逆らわない。

「あ・・・」
美雨は黙り込んだ。
彼女は私を一瞬見ると、その場から走り去ってしまった。
「未来、いいの？行っちゃったよ？」
莉絵はニヤニヤして私の方を見る。

私は正直、美雨の事なんてどうでもいい。
彼女がイジメられようと、私には関係がない。
一応みんなからは“友達”って思われてるけど、私は違う。
友達なんて思ってない。
私と友達でいる事で自分の格が上がると思っているのかもしれない。
でも、私といることで、自分と私が比べられることにいい加減気づいたらどうなのか。

「うん。でも、美雨なら大丈夫っしょ。」

私はそう言って、めんどくさくなる前にその場を離れた。