玄関で靴を揃えて脱ぎ、リビングのドアを開けた。

本当はリビングなんて行きたく無いけど、私の部屋へ行くには、リビングにある階段を上って行くしか方法がないのだ。

ドアを開けた途端、母が駆け付けて来た。

「未来!貴方、今日塾の日じゃないの!?何で行かなかったのよ!先生から電話があったわよ!?」
母の顔はまるで、恐ろしい鬼の様だった。

確かに、今日は塾には行かなかった。
でも、1日ぐらい休んでも良いじゃないか。
いつも親の期待を裏切らない様に頑張っているのだから。

「今日、ちょっとお腹が痛くて・・・」
適当に嘘を吐いた。
「お腹が痛いって・・・。我慢すれば良いじゃない。1日塾休むってどんなに大変な事か分かってるの!?そんなんじゃ、到底Aクラスには行けないわよ!?」
母はこっ酷く私に向かって怒った。
「うん。これからちゃんと行くよ。」
私は適当に応える。

マジで鬱陶しい。
1日休むくらいで、本当にうるさい。
塾を休んだ事は悪いと思っている。
だけど、それってそんなに、いけない事?
私は今まで1度も塾を休んだ事無い。
今日ぐらい、許してよ。

その時、夕食を食べていた父が私の方を向いた。
「おい、未来!何だその態度は!お前がした事はどんな事か分かってるんだろうな!?」

塾を1日休んだけ。
それだけで、何故そこまで怒る?

「それに、お前を今まで育てて来た母親にあんなに適当に応えて!罰として、ここで24時まで勉強しなさい! 」
父は大声で私に怒鳴った。

今の時間は19時。
あと5時間も!?
マジで最悪だ。
私は渋々鞄から教科書、ノート、テキストなどを出した。

それからはまるで、地獄の様な時間だった。
ミスをすると父に指摘され、姿勢が悪いと母に背中を叩かれる。
夕食も食べれず、グーグーと鳴るお腹と、ヒリヒリと痛む背中。

そして、鬼の様な父と母の目が私の心を完全に折れさせようとしていた。