「ただいま」
私は重々しい扉を開けて、家に入る。
この家は冷たくて嫌だ。

親だって本当の私は知らない。
親の期待に応える為に、私は自分の自由を犠牲にして、ここまでやって来た。
中学校だって、トップの所へ行った。

なのに親は、ピアノ、書道、バレエ、生け花、ヴァイオリン、英会話、塾などの習い事を私に押し付けてくる。
私の一週間は、ほとんどが習い事によって埋め尽くされている。

それに、高校だってこの名門校、桜花学園高等部第ニ学年Bクラスに、死ぬもぐるいで勉強して通っている。
勉強の名門校なので、付いて行くのだけでも大変だ。
私は毎日、Aクラスに行けるように必死に勉強してる。
モデルも親が勝手にオーディションに応募して始まった事だ。

だけど私が何をしたって、良い結果を出したって、あの人達は褒めてはくれない。
いつも、『当たり前だ。未来は出来るに決まっている。』って。
笑顔で褒めるどころか『どうしてここはミスしたの!?』と、完璧じゃないとひたすら怒られる。
時には反抗してビンタされた事もあった。

でも親に恨みがある訳では無い。
ただ、本当の私に気付かない親を、バカにしているだけだ。