晩ご飯を食べ、お風呂に入り、ゆっくりしようとしたその時だった。
電話だ。
着信画面を見ると、“未来ママ”と書いてある。
未来のお母さん?
私に何か用だろうか。
一応、未来のお母さんとは連絡先を交換しておいた。
けれど、あっちから着信が来るのは初めてだった。
議問に思いながら、電話を取った。

「はい、もしもし」
『あっ、美雨ちゃん?未来の母です』
「どうしましたか?」
『あのー、未来ってそっちに行ってないかしら?』
「未来なら、今日は来てませんよ?」
『本当?どうしよう』
「どうしたんですか?」
『実は、まだ未来が家に買って来てなくて・・・』
「えっ!大丈夫ですか?」
莉江がいない?
心配になって来た。
『それに・・・』
「それに?どうしたんすか?」
『未来ね?今日コンビニ行ったらしんだけど、どうやらそこで万引きしたみたいで』
「えっ!ま、万引き?!」
『うん。そしたら、未来逃げちゃたんだって』
「嘘・・・。近くにはいないんですか?」
『ええ、探したんだけど。学校の先生方も探してくださってて』
「分かりました。私も連絡とってみます。」
『本当?助かるわ。ありがとう』
「いえ。じゃあ、また」
『ええ。何かあったら連絡するわ』
「はい」
すぐに電話を切った。
30秒程の電話だった。
スマホの奥から聞こえる、叔母さんの声は泣き出しそうな声だった。

未来が万引き?
有り得ない。
学校でも家でも優等生の未来。
未来が犯罪をして、そして逃げているかもしれないなんて。
一気に不安が押し寄せて来た。
とりあえず、未来に電話する。
でも何回かけても彼女は出なかった。
未来は無事なんだろうか。
今度はメールを送った。
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