なにも悪い事はしていないけれど、なにもかもしている真由と視線を合わせていられなかった。


心臓がドクドクと早くなっているのがわかる。


「付き合わないの?」


真由がそう聞いて来たので、あたしは教科書を机の中にしまいながら、左右に首を振った。


「彼氏はいらないから」


キッパリとそう言い切る。


「なぁんだ。せっかく愛と一緒にバイトできると思ったのになぁ」


真由は残念そうな声でそう言った。


「2人とも、おはよう。ダブルデートはどうだった?」


優里が教室へ入って来てそう声をかけてきてくれたので、あたしの緊張はほどけて行く。