「それってもしかして、人身売買?」


質問する声が小さくなってしまった。


ここにはあたしたちと、黒スーツの男しかいないのに、悪い事をしているという思いから小声になってしまうのだ。


「ちょっと違うよ」


真由は左右に首を振ってそう答えた。


「ここではいらなくなった彼氏を買い取ってくれる。その後彼氏は必要な相手に購入されて幸せになる」


「購入って、やっぱり人身売買じゃん……」


「愛。どうしてあたしが彼氏をとっかえひっかえしても怨まれないか、わかる?」


そう質問をされて、あたしの頭の中では『購入されて幸せになる』という言葉が繰り返し流れて行った。