「まだ売ってなかったの?」


あたしの隣に座っていた真由が、あたしのスマホを覗き見てそう聞いて来た。


あたしは咄嗟にスマホを隠す。


「相手は普通の人じゃないから、慎重に行動しなきゃね」


早口にそう言い、メニューを広げる。


隣で真由が怪訝そうな顔をしているのがわかったが、あたしは気が付かないふりをしたのだった。