「そ、それにしても、ここで会うのは初めてだね」


いつもは御霊還りの社で会ってたし、偶然会うのは比良坂神社だった。

こんな道の途中で会ったのは初めてだから、この辺りにナギの家があるのかと予想していると。


「ここ……?」


ナギは辺りを見渡して。


「ここは……」


眉間にシワを寄せ、難しい顔で車道を見つめる。

どうしたのかと彼の視線を辿って、そこで初めて私は気づいた。

ここは、八雲君が教えてくれた事故のあった場所だ。


「そういえばここで事故があったって聞い──」

「っ……いってぇ……」


話していたら、突然、ナギが右手で頭を抑えて痛みを訴え始めた。


「だ、大丈夫!?」


やっぱり体調が悪かったんだと、急いで自転車を置き、ナギの背中をさすろうと手を伸ばせば、ナギがゆっくりと顔を上げる。


「ああ……そうか、もしかして俺は……」


その双眸は見開かれ、やがて顔をしかめると、姿勢を崩し、しゃがみ込んだ。