今までどんなに大変だったか。

どれだけあんたを憎んでいたか。





死んでからじゃ遅い。

何もかも遅いんだよ。



あんた馬鹿だ。

本当にマヌケだよ。








帰って来たかったんなら………帰って来れば良かったじゃないか!!










熱い雫が頬を伝い、写真の上に落ちた。




それはとめどなく溢れ、流れてくる。







「馬鹿………親父!」







俺は、待っていたのかもしれない。


いつかきっと、帰って来てくれるだろうと。






待っていたのかもしれない。










窓の外に目を向けた。


夕焼け色に染まった空は、鮮やかな色彩にも関わらず、涙のせいで曇って見えた。









きっと今頃、親父は天国への橋を渡っているのかもしれない。




あの、虹色の橋の上を歩いているのかもしれない。








そう………親父は、天国へと向かっている。









俺が、許したから………。











俺はその夜、十二年分は泣いた………。










天国への橋


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