どうしたの?

何があったの?


どうして泣いてるの?

どうして謝ってるの?




母ちゃん、父ちゃん………。



喧嘩したの?




どうして喧嘩してるの?






どうして……どうして……?










俺は、ドアを開けた。



一瞬、凍り付いた様に両親の動きが止まる。





いつもと、違う空気…。

いつもと、違う雰囲気…。



今まで感じた事の無い重さ。


重い、時間の流れ……。








俺は、ゆっくりと居間を見回してみた。




母さんは、やっぱり泣いていた。




親父は………。









ふと、俺の視界に大きなボストンバッグが飛び込んできた。



親父を見上げると、パジャマでは無い。


余所行きの格好。








「父ちゃん、どこかに行くの?」







無邪気に出た言葉に、再び泣き崩れる母さん。


親父は、そんな母さんにまた頭を下げた。








親父は、バッグを持ち上げると立ち尽くす俺に歩み寄り、屈み込んだ。



大きな手が、頭を優しく撫でてくる。






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