「亜実ちゃーん」


「さーたん!」



東京から戻ってきたあたしは、いま、通っていた高校へと来ている。

雄大と出会ったこの場所。
早いもので、雄大と出会ってから6年の月日が経っている。



「辞めたってきいたわよー。結婚するから?」


「辞めたけど、結婚はしないよ」



さーたんの言葉に首を横にふる。



「え?てっきり結婚するんだと思ってた」


「あの噂はデマカセだから」



歩とあたしのニュースは未だに続いてて。
結婚秒読みってウワサになってる。
事務所が結婚しないとダメな事務所だからなのだろうけど。

当の本人は、もう連絡すら取ってないというのに。
ウワサだけが一人歩きしてる感じだ。



「亜実ちゃん、また無理してるでしょ?」


「さーたん……」


「泣きたいときは泣いてもいいのよ?ガマンしないの」



さーたんの言葉に涙が流れる。



「ほら、すぐ無理するんだから」



さーたんがあたしを抱きしめて、背中をさすってくれる。