──ごめん、約束果たせなくなった。



そう、電話越しに聞いたのは誓いを交わしたあの日から1週間ほどの朝。



「どうして」というあたしの問いにも雄大は、答えずに「もう連絡できないから」と言葉に続いて聞こえてきてのは無機質な音。



「あの、誓いは……?」



嘘だったなんて、思えない。
あの日、雄大の目は真剣そのものだった。
冗談で言ってるような顔じゃなかった。

それに、まだどこかで信じてる部分もある。
それは、もう惚れた弱みとでもいうのだろうか。
どこかで、またここにかえっきてくれるという気持ちがあったから。



「あ、亜実!おはよう!」



雄大の電話のあと、立ちすくしていたあたしの肩をポンと叩く。



「……ゆず」



誓いを果たせなくなったのは、ゆずを選んだから?
そう思うと、どんな顔をしてゆずに向かえばいいのかわからなくなる。



「スマホ握りしめてどうかした?」



あたしのスマホを指さす。



「ううん、ついさっきまで電話してただけだよ」


「にしては、元気なくみえるけど?あたしが元気ないならわかるのにー!」



ゆずが伸びをする。