「亜実さん、テーブルついてもらってもいいかな?」



だいくんがあたしのところに走ってくる。



「え?ひとり?」


「ごめんね、あたし指名客で埋まってて!なんかあったら呼んで!」



百合さんは忙しそうにしている。



「……わかった」



百合さんの忙しさをみてると、あたしもちゃんとしなきゃと思わされる。

頬をパシッと叩いて気合をいれて、だいくんに言われたテーブルのカーテンを開ける。



「……え?」



カーテンを開けた瞬間、座っていたお客さんの目が見開いていく。



「まさ、や……?」



気合をいれて入った席に座っていたのが昌也でなんだか肩の力が抜けていく気がする。



「びっくりした。亜実じゃん」



昌也が自分の隣をポンポンっと叩く。



「昌也、1人なの?」



昌也の隣に腰をかける。



「ううん、もうすぐトイレから戻ってくると思うよ」


「ふーん」



昌也もこういうお店にくるんだ。
なんて、若干驚きつつも昌也のグラスにお酒を作る。



「昌也、トイレめっちゃ混んでた」



カーテンが開く音と共に聞こえて来た声。