「亜実ちゃんだよね?初めまして!メイク担当してる金堂亜利砂(きんどうありさ)です」



とりあえずとメイクルームに連れてこられたあたしを迎えてくれたひとりの女性。



「亜利砂さん。よろしくお願いします」



亜利砂さんに向かってぺこりと頭をさげる。



「ほら、ここ座ってー。これから亜実ちゃんを世界一の美女にしてあげる。元々かわいいけどねー」



なんてご機嫌そうにあたしを鏡の前の椅子に座らせる。



「あ、フロア……」



鏡の上を見上げるとモニターがあって、さっきまでいたフロアがうつっていた。



「ここからフロアの様子が分かるようになってるんだよ」



亜利砂さんがあたしの頬にベースを塗りながら、こたえてくれる。



「あ、ほら百合の想い人が来たよ」


「え!?」



亜利砂さんの言葉に思わず、モニターを見上げる。

そういえば今日来るって先週言ってたよね。



「もう画面移っちゃった」


「あーん」


「がっかりしなくても今日は百合につくんでしょ?嫌でもたくさん見れるよ。そして、驚くよ」