「とても上達したわねぇ!」


ある日の放課後。
練習をしているとさーたんが実習室に入ってくる。



「本当!?」


「うん。なんか、雑だったところも改善してきてるわ」



さーたんがマネキンの髪の毛を触る。



「わー!嬉しい!」


「あとは、それを全ての髪型に応用することね」



さーたんの言葉に思わずガッツポーズをする。



「頑張る!」



家を出ても、何をしてても、美容師になりたいという夢だけはかわらなかった。
だから嬉しかった。
絶対に成功してみせるって気持ちが更に強くなる。

時が過ぎるのはあっという間で。
春樹と一緒に暮らしはじめて随分たった。
季節も冬に変わっていた。

卒業まであと3ヶ月。
卒業したらさーたんの知り合いの美容室でアルバイトをしながら、通信教育を受けることにすなっている。

家を出たあたしは、お父さんとお母さんにお金を払ってほしいなんて思ってない。
払ってもらうのはこの高校までの費用で十分だ。

だから、アルバイトをしながら通信教育の費用を捻出する予定だ。

そのために、日々特訓中。