目の前の男

___私を作った父親を見る。

今度は落ち着いて、聞けた。

「ここが俺の職場だから。お前を特待生として受け入れたのも俺。

俺が居なかったらお前はここに入れなかったんだぞ?

感謝して欲しいなぁ。なぁ、里香?」


___チッ、と舌打ちをする。

ここには、“あの人たち ” の紹介で特待生として半分コネみたいなもので入った学園だ。

まぁ、“”あの時“” に勉強したから、大学生レベルまではできるようになったのだが。

「それにしても、久しぶりに顔を合わせて怒鳴られるとは。

せっかく、高校どこにも入れないお前を入れてやったのに。

に、しても驚いたよ。

“あの人たち” から、この子を特待生として編入させてくれと言われて資料を見ればお前じゃねぇか。

きっと、“あの人たち”からの頼みじゃなければ断っていたのに。」

そう言って、何が面白いのか クツクツと、喉を鳴らす。

その仕草を見ただけでも不快になる。

小さい頃は、“お父さん”が笑えば自分も嬉しい、と言うほど この男が好きだったのに。

今となってはもう、昔の話すぎる。