お会計をして、喫茶店を出る。

会計は、何回も断ったというのに、後藤さんが奢ってくれた。

もう、これで最後だ。


「ありがとう、里香ちゃん。」

『こちらこそ、ありがとうございました。』

店内を出て、握手する。


向かう方向が正反対だったため店を出てから別れた。

後藤さんの背中を少し見てから、歩き出す。

『ふぅっ。結婚か。』


街中をスイスイと歩いて駅のところまで戻れば

『は?』

先程見た、黒い車。

その前に立っている、金髪と茶髪。

金髪は、目的人物を確認次第助手席に乗り込み茶髪はふわりと笑った。

「おかえり」

『…、ただいま』

ぎこちなさがなく、挨拶出来るようになるのはまだ少し先の話。



꙳★*゚

「後藤さん、ご結婚おめでとうございます。」

「ありがとう。」
「ありがとう。」

タキシードに身を包んだ男と、ウエディングドレスに身を包んだ女が控え室にいる。

挨拶に来た人が全員いなくなったあと、

コンコン

ドアがノックされる。

「はい。」

男の方が、相手をすれば入ってくるスタッフ。

「わぁ、綺麗!!」

スタッフが抱えている花束を見て、女が歓声をあげた。

「いったい、誰から?」

男の方は、不思議そうな顔をしている。

スタッフは去っていき、女が男に花束を差し出した。

花束と共に刺さっている、メッセージカード。

そこには筆記体でHappy weddingと書かれていた。

裏返して、見れば、


《末永くお幸せに

姪:紫陽 里香》

「春史さん。」

「ああ。ありがとう、里香ちゃん。」

紫陽里香が送った花束は無事、後藤夫妻の元に届いた。

꙳★*゚