*椎名side*



お風呂から上がると、救急車の音が近くから聞こえた。



すぐ、近くで止まる救急車。



外に出て思わずしてしまう野次馬に苦笑い。


大勢の人が、囲む中担架に乗る相手の手が見えた。



ダラリ、と垂れるその手にはしっかりと握りしめたピンクのリボンがあった。



血に汚れたリボン。



だけどたしかに"アレ"は私の知ってるリボンだった。



胸がドカドカした。



野次馬を掻き分け進む。


「待って…………待ってください」




私は救急隊員の人を呼び止めた。