中島くん、わざとでしょ



────キーンコーンと
相変わらず大きく間抜けなチャイムが1限目の終わりを告げる。



中島くんの様子が明らかにおかしいことに気づいたのは、その直後。


数学は終わったので、机を離そうとしたけれど、眠っているところに急に動かすとびっくりさせてしまうと思い、声をかけてみれば。



そっと中島くんの肩を叩いた私の手が、ふいにぎゅっと握られた。


触れた部分から伝わる体温が思いのほか熱くて。

思わず力をこめて握りかえしてしまう。




「中島くん……もしかして熱あるんじゃ」



わずかに顔をあげて、黒い瞳が私を捉えるけれど。
すぐに力なく、ぐったりと顔が伏せられた。


だけど、手は変わらず握られたまま。


どうしよう。

頭の中にその5文字が並ぶ。


ずっとこの状態でいるわけにもいかない。

だけど、心配しなくとも、人気者の中島くんの周りにはすぐに人が集まってくる。




「琉生、どうした」

囲んできたのは3人組。その中に浦本くんもいる。



「やっぱ具合悪いんだろ。 保健室行こうぜ、な? 俺たちが付き添うから」



かなり慕われてるなあ、なんて眺めていた矢先。




「……いい」

中島くんの低い声。



「けど、無理したらやべぇよ」

「そうじゃない」

「は?」


ゆっくりと顔をあげ、わずかに潤んだ瞳が私を見る。



「上月さんに連れてってもらうから、……いいってこと」