中島くん、わざとでしょ



手元の教科書を開く気配もない。

私が勝手に開いていいのだろうか……。
許可を求めようと視線を送っても反応はなく、仕方がないから、恐る恐る教科書に触れた。



指示された78ページ。

今日は複素数の計算。
計算式の中に「i」なんて数字じゃないものが入ってるから苦手。


それに、もともと、数学は得意なほうじゃない。


どうか当たりませんように……と祈りながら問題をノートに書き写していく。


だけど、やっぱりこういうときに限って運悪く指名されたりするもので。




「じゃあ今日は……グラウンド側の列から縦に当てていくか。 問6まであるから、ちょうど上月までだな。 解けたら前に書きに来て」



問6。
問題を見てげんなりする。


教科書の問題って、たいてい簡単なもの順に並んでいるもの。
つまり全6題あるうちの6番目って一番むずかしいってことだ。


ルート記号、それから「i」、おまけに分数。既に考える気力を無くしつつ問題式とにらめっこ。