中島くん、わざとでしょ


私から目を背けると、のぞき込んでいた姿勢を戻し、椅子にもたれかかった。
口元にはわずかな笑みを残してる。




「薄っぺらいとは、言ってないよ」

「でも俺、自分の利益しか考えてないぜ、 目的のためならどんな姑息な真似だってするし、女なんか利用する対象としてしか見たことない」


「え、なに急に……そこまで自分を否定しなくても、」

「否定しろよ。 最低だっつって」

「はあ?」



この前は暴言吐いたら怒ったくせに、次は否定しろ?



「じゃないと困んだよね……」


ため息といっしょにぼやいた中島くん。
疲れたような笑顔をみせた。

昨日の傷ついた顔が──────あれはきっと、絶対、錯覚だけど、ふっと脳裏をよぎる。

すごく苦しそうに見えたから、すぐに言葉を返せなかった。




「……えっと、中島くんのいいところ、私が見つけてみるから、元気出して」



とにかく励ましてあげなきゃいけないって気になって、出てきたのがこのセリフ。

中島くんが伏せた目を上げて、そしてぱちくり、瞬きした。



……あ、これ間違った?
中島くん、たぶん引いてる。
アハハ、冗談〜って言おうと思って口の端をむりやり吊り上げた。