「……ありがとう、すごく助かる…よ」
中島くんの指先に焦点を合わせたまま、ぎこちなくお礼の言葉を放つ。
「今日はずいぶんとしおらしいね、上月さん」
気配で、中島くんが私の顔を見たのがわかったけど気づかないふりをして指先を見つめ続ける。
だって、そっちが穏やかだからじゃん。
見せようか、じゃなくて、見せてやんよオラ、くらいの調子できてくれたらいいのに。
「中島くんだって、今日なんか元気ないよね」
「元気だけど」
「……そう?」
「こっち見ないくせによく言う」
ふわっと空気が動く。
下からのぞき込んでくる瞳。
強制的に目が合うかたちになる。
「少なくとも、この前ハライタでうずくまってた上月さんより元気だと思う」
「……あれハライタっていうか、……女の子の日だったんだよ」
あ、この情報いらない。って思うのに
穏やかな中島くんと目が合った状態だと思考が鈍ってしまって。
「うわ、生理を女の子の日っていう女むり」
目が細められたかと思えば、ボリュームを落とした低い声でそんなことを言ってくる。
あ、中島くんだと思う。
こっちの口調だと妙に落ちつく。



