ついには自分で名前を口にしてしまうという失態。
周りに聞かれてないかどうか、そして中島くんが本当に教室にいないかどうか、横目で確かめる。
「急にどうしたのー慌ただしいねぇ。 朝はいつもぼーっとしてるくせに」
「う……ごめん。 とにかく今はここにいさせてほしいだけなんです……」
「うんうん、いいよー。詳しい話はあとで聞かせてもらうから」
お許しがでたので、ひとまずここで待機。
先生が来るギリギリまでここにいて、チャイムが鳴ったら席につこうって……。
「中島はよーっす」
「今日遅えーじゃん」
考えた矢先にドアが開く。
う、うわーーっ。
ご登校なされた。
視界に入れない、視界に入れない。
ミカちゃんの影に隠れるように頭を下げた。
だけど、耳の意識は中島くんに向いている。
「中島どうしたん? 顔色悪くね」
「……や、平気」
「俺、コーラ持ってんぞ。飲むか?」
「ほんと? ……ありがと、もらう」