息を切らしながら言い切ると、なぜか中島くんの手に力がこもり。
受け取ろうとしなかったコーラを、今度は乱暴に奪って自身の口に流しこんだ。
──────そして。
「俺だって
誰にでもこんなことするわけじゃねぇよ」
怒りを含んだ低い音が鼓膜を揺らす。
反対側の手が伸びてくる。
逃げる暇なんてなかった。
後頭部をつかまれて身動きできなくなった私の唇を、やわらかいものが塞いだ。
ドク、と脈が動く。
固まっていると、離す隙は与えないまま少しだけ角度を変えて、またそっと触れられる。
体温が上がり、思考が鈍り始める予感。
流されるな、と言い聞かせた。
だけど
怒ったような声を出していたくせに
丁寧に触れてくる感触に戸惑って。
濡れた唇がほのかな甘さを伝えてくると
わけもなく涙がにじんだ。
「────ん……っ」
呼吸がうまくできなくて、うわずった吐息が漏れる。
クラクラ目眩がするほど熱いキス。
最後に上唇をやさしく噛んで、ゆっくりと名残惜しそうに離れていく。
バクバクってうるさい音が自分の鼓動だって気づくのに時間がかかった。