中島くんを無視して、フタを回した。
プシュッと炭酸の抜ける音がして、甘い匂いがふわっと漂う。
コーラを飲むのは久しぶり。体に悪そうな色。実際飲みすぎるとよくないんだよねって思いながら飲み口に唇を近づける。
だけどあることに気づいて動作を止めた。
……これ、一緒に飲むって言ったよね。
私が先に飲めばいいって言ってたけど、
「……間接キス」
「なにを今さら。 いいから飲みな」
間接キスって分かってて飲めって言われても。そんなのできない。
「無理……」
「なんで。 俺たちキスした仲じゃん」
「っ、そういう軽いとこ、ほんとに無理なんだってば」
ペットボトルを突き返したら、いちおう受け取る構えはしたものの、指先に力は入ってなくて、どうやら拒んでいる様子。
「俺が軽いんじゃなくて、上月が重すぎるんじゃないの」
「ふざけないでよ。 中島くんの感覚、ほんと理解できない。だいたい、あんなのキスじゃないし。私、カウントしてないから!」