目の前に差し出されたペットボトルを見つめる。

中身はコーラ。




「中島くん、コーラ好きなの?」

「うん。大好き」



そう言って、はにかんだような笑顔を見せられた。

“ 大好き ”

花が咲いたみたいに。あまりにも自然で素直な笑顔だったから、自分に向けられたものじゃないのにそわそわっと胸が動く。




「えっ、ていうか一緒に飲むって言った?」



誤魔化すように急ぎ口調で尋ねた。




「うん」

「一本しかないのに?」

「上月が先に飲めばいい」



そう言うと、ドカッとベンチに腰をおろして。




「ほら、座れって」

「あ、はい」



おそるおそる隣に座ると、「どーぞ」と手渡された。
冷たい。周りにほんのり水滴がついてる。





「私が飲んでもいいの?」

「いーよ。さっき手握ってくれて嬉しかったから」




さらりとそんなことを口にして。



「中島くんが言ったこと全部ウソなのに?」

「嘘だけど、上月の優しさは嘘じゃなかったでしょ」




細めた目でのぞき込んでくる。
私の反応を楽しんでるみたいに。

私がどう感じてどういう気持ちになるのか、全部お見通しって言われてる気がした。




「違う?」


って少し眉を下げて聞いてくるの、腹が立つ。
確信してるくせに。


わざとだ、わざと。

もう、引っかからないからね。