売り切れかな? と思って見ていたら、
「あー。やっぱもう寿命か」
だるそうにそうつぶやいて。
「今どきこんなボロい自販機どこにもねぇよ。頼むぜ〜まったく」
足を振り上げたかと思えば、ガンッと一蹴り。
すると、ガガガガガとヘンな音を立てながら、時間差で飲み物が落ちてきた。
一本のペットボトルを抱えて、こちらに戻って来る。
「あーでもしないと出ねぇーの」
飲み物が出ないことにキレて蹴ったのかと思ったから、そうじゃなかったことに一安心すると、ふいに袖を軽く引っぱられた。
「ほら、こっち」
ペットボトルを使って指し示めされたのは、入り口近くにある赤色のベンチ。
「アレ、昨日新しくできたやつだから綺麗」
言われてみれば、眩しいくらいピカピカの赤。錆びて茶色くなった遊具ばかりの中で明らかに浮いてる。
引かれるままに歩いてそこにたどり着くと、「ん」と座るよう促された。
「上月、 炭酸いける人?」
「え? う、うん」
「じゃあこれ、一緒に飲も」



