中島くん、わざとでしょ




そう言うとすくっと立ち上がり、しゃがみこんだままの私を見下ろして、頭の後ろで腕を組んだ。

「手を握ってもらったのは初めてだけど」って、何やらぼそっとつけ足して。





「早く立たねぇと丸見えだぜ? 白地に花柄、かわいーけどさ」



ぽかんと見上げていたのもほんの一瞬。
言葉の意味を理解して、火がついたみたいに顔がボッと熱くなった。


スカートを内股に入れこんで後ずさりながら立ち上がる。




最低最低最低最低最低っ。

どんだけデリカシーないの?

そもそも今までの流れはなんだったの?


女はこういうのに弱いって……引っかかってくれるって……。




「さっきの全部ウソってこと?」

「言ったろ、演じるの得意だって」

「……最低すぎ」



睨んだのに、軽い笑顔でかわされる。

これはぜったい楽しんでる。


そのまま背を向けて自販機のほうに歩き出すと、何やら財布を取り出して。 どれにしようかと迷う様子もなく、中島くんはボタンを押した。



普通なら、そのままガコンと音を立てて飲み物が落ちてくるはずだけど、なぜか自販機は、しんとしたまま。