中島くん、わざとでしょ



黒い瞳がまた、不安定にゆらゆらと揺れていた。

勢いよく引っぱったくせに、掴んでいる手は弱々しくて。握り返さないと、どこかに消えていってしまうんじゃないかと思ったくらい。





「アハハ、なんつって
──────って、 ……え?」




ヘラっと笑いかけた目の前の顔が途中で固まった。

笑顔になりきれてないひきつった表情のまま、中島くんは目を丸くして手元を見る。




「……っと、上月さん。これは一体……?」



今度は、苗字にさん付け。
まったく、呼び方までバラバラなんだから。




「こんな簡単に、男に触れないほうがいーぜ?」

「……だって中島くん、が……」


「うん、俺が?」

「……ううん、なんでもない。
……ていうかっ、先に触れてきたのそっちじゃん!」



恥ずかしさが襲ってきて、拳を包んでいた両手をパッと離したら、急に、余裕たっぷりの笑顔になった中島くん。

さっきの憂いた表情は、どこにいったのって。




「やっぱり女って、こういうのに弱いよな」

「えっ?」

「ちょっと弱った姿見せるだけで、すーぐ引っかかって慰めてくれる」