中島くん、わざとでしょ



ちょっと恥ずかしい言い方になったかなって顔が熱くなったけど、平静をよそおう。




「……えー。 何それ急に」



返事がくるまで間があった。

なぜか急にその場にしゃがみこんで、中島くんは両手で顔を覆った。


指の隙間からちらりと目をのぞかせた状態で私を見つめてくる。





「俺さ、自分でもよく分かんねぇーの。ガキの時から親父の前では真面目ぶって、 外ではぎゃあぎゃあケンカして。そしたらいつの間にか、正反対な人格が生まれててさ」




突然はじまった話に、なんて返していいかわからずに、とりあえずゆっくりと相づちを打った。




「意識的に使い分けてるわけでもないんだよなあ、場に応じてか、なんかよく分かんねぇけど自然にそうなってる感じで。でもまあ、演じるのはたぶん得意」




えっと、どうしよう。
頭がフル回転。

これってたぶん、結構、重大な話。
胸が苦しくなってきた。
軽い気持ちでウンウンと頷いていい話じゃない。


なにか、言葉をかえさなきゃ。
そう思って口を開きかけたら、




はあーっと長い息が吐き出された。




「そういや、はのんちゃんと俺、共犯だよね」

「へ?」

「煙草、見てみぬふり」

「え、いやそれは中島くんが口封じを無理やり─────」

「あー面倒くさ。細かいことはどうでもいいからさ、お願いがある」




中島くんはしゃがんだまま、私に手を伸ばして、ぐっと下に引っぱった。
勢いと重力に逆らえなくて、そのまま一緒にかがみこむ体勢になる。





「本当の俺、一緒に見つけて」