怖くて震えていたはずの足にぐっと力が入り、急いで中島くんの背中にまわる。
相手がサングラスを外した。
「ねえ、ここでケンカするの……?」
うしろから耳打ちすると、小さく顎をひいて。
「売られたからには買わなきゃね」
「でも、危ないよ」
「ダイジョーブ。秒で終わらしてやる」
私にちらりとも目を向けない。立ち位置をずらして斜めうしろからのぞき込むと、前の人物を見据えたまま口元だけで笑っていた。
「こーいうの苦手なら後ろ向いとけば」
そんな言葉を吐いたと同士、地面を蹴った中島くん。
あっという間に距離をつめ、相手が面食らった隙に左顔面にこぶしを叩きこんだ────かと思えば、それはフェイントだったようで。
相手がとっさに腕で顔をガードしようとした瞬間
「右脇腹、ガラ空き」
長い脚が胴体を蹴り飛ばした。
鋭くて鈍い音が響く。ゆっくりとまばたきして、再び目を開けば、サングラスの男が仰向けに倒れていて。
「はい、俺の勝ち。そっちはどう? 暇なら相手になるぜ」



