中島くん、わざとでしょ



この低い響きは、知ってる。

校舎裏で、私に見せた裏の一面。

あの時の、あの人の声。




「あ?」と声をあげて男ふたりが振り向いた直後、その手は一瞬で私から離された。


解放されて、動けるようになった私は

顔をあげて、その人物の足元を見た。





「あんたら、神郷会の人間だろ。 俺たちのシマになんの用だ?」



彼が────中島くんが、
一歩近づくと
黒マスクの男は慌てたように後ずさり。


もう片方のサングラスの男は、構えた、低い姿勢をとった。





「へぇ、俺とやり合うつもり? 笑わせんなよ」

「るせぇ。 黒蘭の最高幹部だかなんだか知らねぇけど、あんま調子のんなよ中島ァ」



黒マスクの男が「おい、よせ」と肩を掴んだけれど、その手は乱暴にふり払われる。





「いいぜ。相手してやるよ」



中島くんの目がギラリと光る。
ゾクッとした。

そして




「……その前に」


私にようやく目が向けられた。




「こっちに来い、はのん。
危ねぇから俺のうしろで見てろ」