不思議でしょうがなかった、と文末がすでに過去形になっているのは、ミカちゃんはもう、事実を知ってるから。
「はのんを追いかけて入ったんだよね、西高」
「……うん」
暗い声しか出ない。
遼くんが西高にいるのは私のせい。
私が西高を受験すること、知らせるつもりはなかった。絶対に、知られちゃいけないことだった。
遼くんのために離れる。そう決めて西高を受験したのに。
「願書提出する直前に、見られちゃったんだ。遼くんに」
見つかってしまったけど、さすがに締切間近の願書を一から書き始めるなんて絶対しないだろうって思って油断した。
それに、遼くんは私の願書を見たとき、何も言わずに背中を向けて去っていってしまったから。
諦めてくれたんだろうって思った。
「だけど遼くんは、私に黙って西高を受けた。自分の志望校、あっさり捨てて。……ほんと、おかしいよね」