ハッとして顔をあげる。



「っ、ごめん」


走ったわけでもないのに息が乱れてる。
こんな状態じゃ、遼くんと一緒にいられない……。





「あの、せっかく来てくれたんだけどね、今日はミカちゃんと遊ぶ約束してて……」



遼くんに嘘をつくのは心が苦しい。
そんな私にいやな顔ひとつせず、にこっと微笑んで「わかった」と言ってくれた。





「じゃあまた、月曜日」


手を振って見送る。



遼くんが教室を出ていくと、ミカちゃんが駆け寄ってきて、事情を察したのか「大丈夫?」と背中をさすってくれた。

心配をかけたくなくて、笑顔をつくる。





「ちょっと思い出しちゃっただけ。ありがとうミカちゃん」

「無理しないで。このあと、カフェ行こっか。そこでゆっくり話そ?」


「……いいの?」

「うん。落ち着くまでいっしょにいるから」




普段はイケメンイケメンばっかり言ってるくせに、こういうときは優しく寄り添ってくれるところ、本当に大好きだな。