「あの……」
と控えめに遼くんに話しかけるから、いったい何を言いだすのかと思えば。
「上月さんには琉生君がいるんで、いくら会長でも手ェ出さないほうがいいすっよ……」
……って。
はあ?
目を見開いた。
静かだった教室も、とたんにざわつき始める。
中島くんを見ると、頭の後ろに腕を組んで、まるで部外者みたいに、呑気に眺めているだけ。
ちらっと横目で私を見たかと思えば
「さて。どーなるかな?」
なんて笑ってみせる。
まさか、面白がってる……?
「ちょっと、否定してよ……」
「まあまあ、このまま様子見てみようぜ」
「ふざけないで。 煙草のこと言うからね?」
脅せると思ったのに、中島くんは顔色一つ変えず。
「弱み握ってんのは、こっちも同じなんだけど?」
そう言って、にやりと笑う。



