ドキッとした。
全身が心臓になったみたい。脈が耳元で鳴り響いてうるさくて周りの音も全部かき消されるような。





「……やっぱり図星か」


そんなセリフと同時に、パッと手が離される。




「違うもん……」


弱々しい声しか出ないのがくやしい。




「そんなに顔赤いのに?」

「え……」




ほっぺたに手を当てると、湯気が出てるんじゃないかってくらい熱くて。
冷めろ冷めろって思うのに、ぜんぜん言うことをきいてくれない。





「誤魔化すの下手くそ」


中島くんが呆れた顔をして長いため息をつく。
それから目をそらして




「あーあ。おもしろくな」


ってひとこと。




「けどこれで、はのんちゃんの弱みを握れたわけだ」


とたんに表情を切り替える。あまりにも意地悪な笑みを浮かべるから、嫌な予感がした。





「これで、完全に口封じができた。そして、俺の命令にも従わせることができる」

「……えっ?」




命令?

何言ってるの。

唖然として見つめると、細めた目をさらに細めて。





「立場が同じなら、俺のほうが力は上ってこと。
分からせてやるよ」