あわてて視線を斜め下に泳がせた。
見透かされそうで怖い。

気安く呼び捨てないでって怒る余裕もなかった。
心臓が早鐘を打つ。





「……いないよ」

「嘘つけ」

「ほんとだって……」



離してほしくて嘘をついた。


だいたい、私に好きな人がいるかどうかなんて、中島くんには関係ないのに。

どうしてそんなこと知りたがるの?





「それとさ。あいつとはどういう関係?」

「あいつって誰?」

「生徒会長」

「、っ」




やっぱり何か、感づいてたのかもしれない。
一昨日といい、昨日といい、中島くんといる時に限って遼くんが現れたから。





「遼くんは、生徒会で一緒なだけ」

「にしては親しすぎるだろ。したの名前で呼び合ってるし」


「……幼なじみ」

「……は」



一瞬だけ、私の腕をつかむ力が弱まった気がした。





「家が近所で……昔から仲良くしてくれてる」

「……あとは?」

「あとは、って……?」

「好きなんだろ」