すました顔で椅子に座ると、「はのんちゃんも座りなよ」と口角をあげた。

周りもみんな、ぼちぼち席につきはじめている。いくら中島くんの隣が受け入れられないからと言って、いつまでも突っ立っているわけにもいかず。



壁にぴったりと机をつけて、なるべく距離をとってから腰をおろした。





「なんでそんなに離れんの」

「話しかけないで」


「ひっで。 仲良くしようや ?」

「絶対いや」



顔を思いっきりグラウンド側に向けると、中島くんも諦めたのか、黙りこむ。


先生の話が始まったけど、しばらくはこうして外の景色を眺めていようと決意した。
そしたら話しかけられることもないだろうと、
思ったから。


……なのに。





「おい」


低い声と同時。

腕をつかまれて、引っ張られる。


そんなことされて無視できるほど大人じゃなくて、「やめてよ」と声をあげた。



中島くんの顔が間近にある。近い距離で視線がぶつかって、咄嗟に離れようとしたけど、強い力がそれを許してくれない。





「なあ、なに怒ってんの」


苛立った声でそう言うから、カチンときた。