中島くんに声を掛けられた浦本くんの肩がビクッとあがる。慌てたように振り向いて、
「あっ、あのな。嘘だから、狙ってねぇから!可愛いと思ってたのはほんとだけどよ、琉生の彼女に手を出すつもりは微塵もなくてだな……っ」
おもしろいくらいにあたふたし始める浦本くんに対し、中島くんはクールな表情で「そんなことは聞いてないよ」と返す。
「ちなみに、俺の引いた席もあっち側の1番うしろだから、悪い条件じゃないでしょ」
「っ、ああ。もちろん。お幸せに……!」
そう言って逃げるように去って行った浦本くん。
取り残された私は、状況が読み込めるまで少し時間がかかった。
「えっ。なんで中島くんがここにいるの?」
「今のやり取り、見てねぇの?」
小声にして、すぐ口調を崩してくる。
「見てたけど。……いや、それより彼女って何……? なんで隣……」
情報量が多すぎる。受けとめきれない。
「見張るには、隣にいないと」
「へ?」
「はのんちゃん、すぐ言いふらしそうだし」
「ちょっ、したの名前では呼ばない約束……」
「それは人前で、って話だろ」



