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「だから、ごめんなさい………」
思ったからには、有言実行。
放課後、中島くんが一人になった隙を見て話しかけた。
相づちも打たずに私の話を聞くから、やっぱり怒ってるのかとか、暴言を吐かれるのかとか、身構えたけど。
「なんだ、そんなこと」
と、興味なさそうに一言。
拍子抜けする。
「放課後に呼び出すなんて、てっきり告白かと思ったのに」
無表情のまま、抑揚のない声でそんなことを言うから、おちゃけてるのか何なのか判断がつかない。
怒ってはいないようだけど、朝までの勢いもなくて。
そして、態度も、優等生モードと本性モードの中間くらいをさまよってる。
中島くんのキャラ、本当につかみにくい。
「あの、どうしたの……?」
「なにが」
「元気、ないよね。なんか、中島くんらしくないよ」
「は?」
睨まれたから、あとずさる。
元気ないとか、やっぱり勘違いかも。
そもそも、中島くんが元気とか元気じゃないとか関係ないし。
言おうと思っていたことは、ちゃんと言えた。
もう用はない。