抱きしめられる力が強くなった。
ぎゅう、ぎゅうって
もう離さないって言ってるみたい。
私の方こそ、自惚れていいの?
ゆっくり中島くんの背中に手を回してみた。
中島くんの匂い。
ほんのり甘い、やさしい匂い。
近くに感じられる、大好きな匂い。
「中島くんのそれ、香水?」
聞いてみる。
「香水はつけてないけど。柔軟剤かもしんない」
「いい匂いで、ずっと好きだなって思ってた」
そう言うと、また優しく笑って。
「これはムスクジャスミン。俺も好きで、ずっと使ってる」
ずっとこの先も変わらないでいてほしいと思った。
同時に、
この香りはどこにも売られていてほしくないと思った。
……私だけが知っていればいいのに、なんて。
そんなことを考えてしまうくらい
「大好き」
たぶんこの先もずっと
中島くんに溺れてる。
End.