「お前……顔赤い」
走ってきたもん。
中島くんに会いたくて。
「汗かいてんじゃん。 暑いの?」
言われて気づく。
朝に巻いていた前髪、内側が汗ではりついて台無しになってる。
恥ずかしくて泣きたくなった。
「冷たいの、これしかないけど……」
中島くんが差し出したのはペットボトル。
おなじみのパッケージ。
中島くんの好きなもの。
長い指がキャップにかかって
くるって、回った─────直後。
パンッと軽い爆発音のようなものが聞こえたかと思えば
次の瞬間、私の胸元あたりをめがけて何かが飛んでくるのが見えた。
反射的に目を閉じる。
バシャッと、かかった液体
冷たくて、濡れた感触。
二人して固まった。