足がすくんだ。


……そうだ。いくらホンダくんの言葉が本当だったとしても

中島くんが今も同じ気持ちでいる保証なんてどこにもない。


ついこの間、デートなんか冗談だって冷たい声で突き放されたばっかりなのに。


そもそも、勢いで飛び出してきただけで
会って何を言おうとか、何がしたいとか、考えていなかった。



女の子の手が中島くんに触れる。

ぴったりとくっついて……。


胸がぎゅっと苦しくなる。



……やだよ。 さわらないで。


目頭があつくなって涙がにじんだとき

ふいに中島くんが後ろを振り返った。


そして、視線がぶつかる。


ドキン!と心臓が跳ねた。


思わず踵を返す。



「────上月?」


中島くんの声。

近づいてくる足音。