……ああ、そういうこと
って、妙に冷静な頭の中。
最近、やたらも俺から距離を取ろうとしていたのも、ぜんぶ納得がいった。
本当は冷静でも何でもなくて。目の前の現実が受け入れられないだけだって
刺すような胸の痛みが嫌でもそれを教えてくる。
───やっぱりいらない。
欲しくなったらだめだ。
制御できなくなる。
そばにいないとだめな体になってしまう。
傷つけてでも、一緒にいてほしいと
そんなことを思ってしまう前に
───俺の悪い癖が出てしまう前に
離れないと
いらない、
いらない。
どうせ手に入らないものなんて
どうせ終わりがくるものなんて。
大丈夫、今ならまだ………引き返せる。
─────静かに一歩 退いた。