ゆっくりと離される。

遼くんの口元を見つめたまま、目を合わせられなかった。



どうしてか目頭が熱くなってくる。
胸がぎゅっと苦しくなる。


当然のことにびっくりしたから?
昔のことを思い出して懐かしくなったから?


そんな理由を並べてみるけど
ぜんぶ違うことはわかってる。



遼くんのことが好き。

──────好き、だった。



ほんとは、ちょっと前から気づいていたかもしれない。



遼くんからメッセージが届いても

遼くんに抱きしめられても

遼くんにキスされても




考えてるのは

中島くんのことだって。



今のキスで分かってしまった。


ああなんで

こんなタイミングで。



ちゃんと言わなくちゃいけない。

これ以上、遼くんに隠しごとはしたくないから。

大好きだった人に嘘はつきたくないから。




「……遼くん。私は──────」