「きりーつ」
キーンコーン…と間抜けなチャイムを合図に、終礼の号令がかかった。
教卓の上には人数分の成績表がすでに置かれていた。
緊張する。
考えているのは、自分じゃなくて中島くんの結果のこと。
「出席番号順に取りに来てください。受け取った人から帰っていいですよ」
先生がやる気のない調子でそう言うと、若い番号の生徒たちが立ちあがりはじめる。
中島くんは「な行」だから、私よりもあとに受け取ることになる。
自分のを受け取ったあと、なんとなく席に戻るのが気まずくてミカちゃんの席に逃げた。
次々に名前が呼ばていく。中島くんの番が回ってくるのはあっと言う間だった。
「次、中島ー」
そんな先生の声と同時、
教室の前のドアが開いて
「……はのん」
顔をのぞかせた人物とすぐに目が合った。
「ごめん、ちょっと今からでいい?」
人目を気にしながら駆け寄る。
「俺から誘ったのに、今日塾だってこと忘れてて……」
ああ、そうかと私も思い出す。
第3金曜日。
遼くんにはあまり時間がないんだ。



