中島くん、わざとでしょ










おかしい。

おかしいおかしいおかしい。




「上月何点だった?」


柔らかそうな髪が揺れて


「……おい、無視すんな」


綺麗な黒目が私をのぞき込んで


「見せろよ」


大きな手が私に触れると



「……っ、離して!」



どうしてか胸が苦しいくらいにギュッとなる。
心臓がドキドキうるさい。

それを誤魔化したくて、大きな声が出てしまう。

目を合わせられない。




「見て。 俺100点だったよ」


またドキッとする。

今日返却されたのは数学。

いくら西高はレベルが低いとはいえ、ラストの方には発展問題が用意されているから100点なんて簡単に取れるものじゃない。


……すごい。そう思うのに


「ふうん」

って、そっけない返事になってしまう。


違うのに。ほんとは……。