中島くんてもしや、筆箱をゴミ箱にしちゃうタイプのズボラな人間だったりするんだろうか。

いやでも、そんな風には……。


そう思いながら、もう一つの紙に手を伸ばす。


折りたたまれていた。
取り出してみると、ピンク色。

これは記憶に新しい。

文化祭のイベントでお願いごとを書いた用紙だ。



────だけど。

あのあと、私たちは保健室を出て中庭の木に結びに行った。中島くんが結んでいるところも、この目でしっかりと見た。


……じゃあ、これは?

黒マジックが、ところどころ裏写りしている。


勝手に見るのはいけないと思いながらも、知りたい気持ちが先走って、つい開いてしまった。




「───っ」


ドキン!と大きな音が鳴る。
それを合図に鼓動が加速していく。



「はのん? どうかした?」

「っ、いや!なんでもない!」


慌てて元のように折りたたんで中に仕舞った。

……これは、どういうこと?


顔が熱くなる。


帰り道、ミカちゃんとテストの話をしていた気がするけど、正直話に集中できなかった。


家に帰っても、熱があるのかと疑ってしまうほど、ぼんやりとして。



たった一瞬、見ただけなのに

中島くんの綺麗な字が

頭の中に焼きついて離れなかった。