ドク、と胸がヘンな音を立てた。
だけどじっくり考える暇もなく


「あっ」

というミカちゃんの声、

それとほぼ同時に、ガチャンと何かが床に落ちる音がした。



「うわっ、スクバが当たっちゃった」


足元を見ると、シャーペンや消しゴムが散らばっていた。

それは私のものではなく。


フタが開いた状態で落ちているのは、某コーラ会社のロゴがプリントされたペンケース。



「中島くん、忘れて帰ってるじゃん」


かがみ込むミカちゃん。

私も一緒になって拾いあげる。


ペンケースを忘れて帰るなんて、よっぽど慌ててたんだなあ……。


ひと通り拾って、ペンケースに手を伸ばすと
中になにか紙切れのようなものが入ってるのが見えた。

大きいのと、小さいの。


取り出してみて、びっくりした。


一つは付箋。 まとまっているものではなく、前に中島くんに板書のコピーを渡したとき、自分のプリントたちと間違わないように私が貼り付けていたもの。


【中島くんの】と私の文字で書かれているから間違いない。


……どうしてこんなものを?