中島くんの幼なじみが通ってるところ。

中島くん、テスト終わって早々、好きな人とデートするの……?


言いようのない重たい気持ちが胸の中にもやっと広がった。



男子の言葉に、ハッとしたように頭を上げた中島くん。


「……やっば」


そう言うなりすばやく荷物をまとめて、男子たちに軽くあいさつをすると教室を出て行ってしまった。


……私のこと、一回も見なかった。


そりゃあデートなら相手を待たせるわけにはいかないし、急いで当然だけど。


私とデートしたいの?って聞いたら

うん、って言ったくせに。


────やっぱり
あれも冗談だったってことか。



「はのん〜。やーっと終わったねテスト!」


顔を上げると帰り支度を終えたミカちゃんが立っていた。



「帰ろ帰ろ!家についたらソッコーで寝たい」

「うん、だね」


パッと笑顔をつくって答えた。


やめたやめた。

どうせ嘘つきで軽薄で猫かぶりな中島くんのことだから。期待なんて、持つだけ損………。


そう思った自分に、えっ?とストップをかける。



────なに、“ 期待 ” って……。